司法取引の重要性感じた2018/11/20

カルロス・ゴーン日産会長が逮捕されるに至ったのは、内部通報いわゆる内部告発によるものだ。

不正事案の発覚は、内部告発でしかあり得ない。
警察が確証もないのに、自分から手間暇かけて捜査に乗り出すことはあり得ないからだ。

内部告発者は当然、かなり内情を知る者、つまり、自身も不正の手伝いをするなど側近に限られる。

そうなると告発すれば自分も罪に問われることになるから、会社の不正は表に出にくい。

今朝の「特ダネ」で、若狭・元特捜検事が言っていた。
今回は金融商品取引法違反だったわけだが、同法に司法取引を適用するかどうか若狭氏も衆院議員時代に論議に加わって、結局、司法取引が導入された。それが今回、大きかったという。

もちろん正義感で内部告発をする者もいるだろう。
しかし、不正が長きにわたった場合は、告発者もどっぷりとその中に浸かってきたわけだから、正義もへったくれもない。
罪の軽減や猶予がされない限り、内部告発はなかなか出てこないだろう。

ある会社で、社長が勝手にパチンコ屋から土地を法外な値段で購入して会社を移転すると発表したとしよう。
しかも、町の中心にある本社を、不便で人気のない埋立地に移すというのだ。メリットは何もない。

社員は「おかしい、なにか裏がある」と思いながらも、不正の証拠は何も持たない。
社員同士、「あんなところに行きたくない」と愚痴るだけで泣き寝入りだ。

こうして埋もれている経営陣の不正は、世の中にごまんとある。
こんなとき、経営の中枢に近い人物が内部告発をするしかない。

今回、入り口は金融商品取引法違反だが、ゴーン容疑者以外の経営陣が目指すのはゴーン個人の特別背任罪だろうという。

確かに、司法取引がない限り、独裁者を特別背任で追放するなんてことはできない。
今回の事件で、ぞっとする経営者は世にたくさんいることだろう。

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