縮小する本屋2020/04/05

「定有堂余話」で、奈良敏行さんは「縮小」という言葉をよく使う。

しだいに書店は小さい方がいいと思えるようになった。

世に捨てられて本の世界は縮小しつづける。世に受け入れられると、本の世界は画一化する。見捨てられたときに、多様な形態を豊かにする。だから本屋はどんなありようでもかまわない。つづけることだ。

「縮小」は、本屋だけでなく、読者の読書環境にも生じている。本を読み語り合う環境が細いものとなっている。

このところわたしが夢見てきた「縮小する本屋」が、地面から湧き出たようにここにある。


現実に本屋の店舗数が縮小していることも指しているのだろうが、むしろ「小さな本屋」に「この先の本屋」の姿を見ようとしている。

奈良さんの世代(つまり私の世代)より20も下の世代は、さらに「縮小」に肯定的だ。

BRUTUSで、本屋で本も作る京都の3人が鼎談している。
誠光社の堀部氏はこう語る。

大きい組織だったら分業化によって全体像が損なわれがちだけど、本屋も出版社も規模が縮小すれば、編集も出版も営業も小売りも最終的には個人の仕事へと収斂されていく。小規模化によって、本に関する仕事の全体像が取り戻されていくんです。

世の中は拡大→縮小→拡大の繰り返しだ。
あるいは統一→解体(分割、独立)→統合の繰り返し。
かつてコミュニズムがソ連を生み、その後、解体し、またロシアが拡大化した。
コミュニズムの変形であるグローバリズムで巨大化した中国もいつか倒れ、いくつかの国・地域に分かれていくことだろう。
ヨーロッパはEUに統合されたものの、イギリスは脱退し、今後も統合を保てるかどうかはあやしいところだ。

本屋の世界だって、同じだ。
つい最近まで大型書店の時代だったが、今や細分化、小さな本屋の時代が来たということなのだろう。

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