双脚輪状文2022/12/01

装飾古墳の文様で一番好きなのが双脚輪状文だ。

そう考える人は多いらしく、熊本県立装飾古墳館では平成27年(2015)度に「双脚輪状文の交流」展をやっている。

双脚輪状文は珍しい文様で、全国にある660基の装飾古墳のうち、北部九州の5古墳にしか見られない。

この企画展では5古墳の中に佐賀県鳥栖市の田代太田古墳を入れているのがうれしい。

というのは、柳沢一男『装飾古墳ガイドブック――九州の装飾古墳』では、田代太田古墳の文様を類型として扱っているからだ。

輪状部の上端を描いていないため、高坏形ではないかという。

しかし、11月19日付の写真を拡大して右手にある文様をよく見てほしい。
明らかに双脚輪状文である。

乳房ん古墳①2022/12/02

はじめチブサン古墳と聞いたときは、いかにも音からして、半島系の古墳か、嫌だなあと思った。

ところが、乳房の古墳だと知って安心。行く気になった。
何しろ装飾古墳の中でもチョー有名な古墳である。

そもそもの目的は熊本県北部の菊池川流域5地区でやっている「古代の森」カード集めである。

私は福岡では今年7月から九州古墳カード集めに着手したが、「九州」古墳カードと言いながらまだ福岡しかないので、熊本の古代の森カードにも手を伸ばすことにしたのだ。

山鹿地区受付の山鹿市立博物館を訪ねると、なんとチブサン古墳の石室公開は毎週土日と祝日にやっているという。
あんな有名な装飾古墳を毎週公開しているとは!

その日11月29日は平日だったので、また来なくちゃいけないじゃないか。

ともあれカード貰いのための証拠写真を撮りに行く。
正直、チブサン古墳の墳丘自体には何も期待していなかった。
あの目ん玉のような乳房のような装飾ばかりが有名で、古墳そのものの話など聞いたことはなかったからだ。

ところが、ところが。
行ってびっくりである。

美しい!

こんなきれいな前方後円墳は初めてだ。

写真ではあまり分からないだろうが、ほんとに素晴らしい。

乳房ん古墳②2022/12/02

これは古墳の一段下の場所に屋外展示してあるレプリカである。

左側の2つの同心円文が女性の乳房のように見えるから、江戸時代には母乳の出が良くなるように古墳に甘酒をお供えしたとか。
まあ、私には2つの目玉とその下の逆三角形が口で、ユーモラスな顔のように見えるが…。

また、右側壁には王冠のような物をかぶり両手を広げた、これまた興味深い人物像がある。
11月19日付で紹介した田代太田古墳と同じ日下八光氏による模写が、入れ代わりに1月17日から展示される予定だ。
楽しみだ。

乳房ん古墳③2022/12/02

チブサン古墳の墳丘のくびれ部には、凝灰岩製の石人(高さ1.5m)が立てられていたという。

それが九州国立博物館4F文化交流室に展示されている。

今回、熊本県北部の菊池川流域の古墳を訪ねて、驚き、意外だったのは石人の存在だった。

石人といえば、福岡・八女の岩戸山古墳の専売特許のように言われている。

ところが実はもっと広範囲なのだ。

これは福岡と熊本の両県に分かれていて、福岡側は熊本の石人については積極的に宣伝しないというか、だんまりを決め込んでいるせいではないか。
縄張り意識はやめてくれよー

江田船山古墳②2022/12/03

11/30付に続く、江田船山古墳出土品第二弾である。

これらは肥後民家村の中にある、意外に小さな和水町歴史民俗資料館に展示してあるレプリカである。
本物は東京国立博物館にある。

お目当ての銀象嵌銘大刀以外に、おっ?と目にとまったのは、この鏡である。
こんな鏡見たことない。

神人車馬画像鏡と堅苦しい名前が付けられているが、実にユニークなデザインだ。

中国鏡に飽き足りない日本人が、いかにも日本人らしい独創性を発揮して諧謔味のある鏡を作ってみたのではないかと思うが、どうだろう。

説明が何もなく、同館は無人なので本当のところは分からない。

江田船山古墳③2022/12/03

さて、いよいよ江田船山古墳である。

5世紀後半に造られた墳長62mの前方後円墳だ。

濠の周りを歩いていると、うう、濠に下りたい、古墳に登りたい、という衝動が沸いてくる。

すると、なんと階段がある。登っていいのだ!(続く)


ところで、いただいた古代の森カードによると、銀象嵌銘大刀の年代は5世紀後半~6世紀初頭と書いてある。

ということは古墳ができて、だいぶ経ってから埋葬された可能性もあるってこと?
謎だなあ。

江田船山古墳④2022/12/03

さて、階段を上がった先には何があるのだろう。