風も吹くんです、雲も光るんです。2011/10/20

希望を持たせてくれる別バージョン
「花のいのちはみじかくて苦しきことのみ多かりき」
という悲観的な言葉は林芙美子の人生哲学に似つかわしくない。

なのになぜその言葉にこだわったんだろう?

ということで、6年前、『「花のいのち」の謎』という本を出した。

すると2年前、芙美子が書いた
「花のいのちはみじかくて苦しきことのみ多かれど
風も吹くなり雲も光るなり」
という別バージョンが東京の村岡花子文庫にあることが分かった。

うれしかった。
自分の疑問への答えが、現物として出てきたのだから!

これは2008年に村岡花子の孫である恵理さんが『アンのゆりかご 村岡花子の生涯』の中で明らかにしていたのだが、
翌09年7月に恵理さんが「ふくやま文学館」に調査を依頼したことで同9月に新聞に報道されたものだ。

しかし、そのときはそれなりに話題になったが、文学上のこんな小さな発見はあっという間に世間から忘れられた。

だが、私は忘れるわけにいかない。

林芙美子の代名詞となっている「花のいのちはみじかくて」だけれども、
「苦しきことのみ多かりき」では救いがない。

これからは新しく発見されたほうのバージョンを定番にしてはどうだろうか。

東日本大震災という未曾有の災害があり、そこからの復興を皆が願っているこの年から。

それがこの本の〝隠しテーマ〟であり、そんな願いを込めて
背表紙にこの詩を掲げた。

瓜生山同窓会に出版の報告2011/10/20

京都造形芸術大学の同窓会を「瓜生山同窓会」という。
大学が京都市左京区の瓜生山(うりうやま)にあるからだ。

その同窓会のホームページが私の本のことを載せてくれた。
感謝。


http://uridou.jp/modules/wordpress/index.php?p=136