もう一度、餃子楼のカツ丼が食べたい2017/08/21

ああ、もう一度、餃子楼のカツ丼が食べたい!

オヤジは出前専門。料理は大人しそうな奥さんが黙々と作る。
上はいつもメリヤスの肌着。下は作業ズボンだったか……。
大きな岡持ちをがしっと握って、自転車を片手で操縦する。
カツ丼は出前で運ばれる間に味が沁みて旨くなるという。
まさにこのこと。食べるといつも幸せな気分になった。あんな旨いカツ丼にはその後巡り会わない。日本一の味だった。だみ声で「ゴーゴー」(五百五十円のこと)と代金を請求し、食券を無造作にポケットに突っ込んでいた。
※働いていた新聞社から食券が支給されていた(半額は自己負担)。

編集の人間は出前で食べるが、昼に覗いたことが何度かある。
すると狭い店内は会社の営業の連中でびっしり! 皆、ここで外回りのエネルギーを注入していたのだ。営業にはカツ丼がよく似合う。

出前といえば、ラーメンと定食のKも忘れられない。
こちらはあまりおいしいメニューがなく(カツラーメンは秀逸だった)、餃子楼が十往復する間に一回程度しか出動はなかったが、オヤジのキャラは引けを取らない。
上はやはり下着のランニング姿で、さらに頭には鉢巻きを締め、同じく自転車の片手乗りだ。「へい、おまち!」と吃驚するような大声で登場する。

驚くほどいつも出前が遅いグリルMのカツスパ、コロンボのハンバーグ弁当、ひょうたん寿司(ここはがらりと業態を変え、昼はちゃんぽん屋、夜は居酒屋で頑張っている)……そして、一階のエリートいけだの鉄板焼き定食、地階の南国ラーメンは飲んだ翌日に食べると決めている人も多かった、コーヒー志門の話好きの女の子はどうしているだろう……。

どうして、あの愛すべき空間がなくなってしまったのだ。
ああいうものを愛せない人たちが、無味乾燥で殺風景な埋立地への引っ越しを望んだに違いない。

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