新聞は誤報を訂正しないのか ― 2018/07/20
新聞記者の頃、自分の書いた記事に間違いを指摘されると、飛び上がったものだ。
あ~「お詫びと訂正」を出すのか! 気分最悪の瞬間だ。
最初に社会部に配属され、鹿児島市政記者クラブに所属した。
初めて市政の問題点について、120行もの「焦点」を書いたときに、自社の政経部のベテランに朝会うなり、
「この記事は良かった!! これで全部よーく分かった」
と絶賛された。
「ありがとうございます!」と言っておけばいいのに、
褒められ下手の私は、謙遜のつもりで、つい、自分を貶めるようなことを言ってしまう。
「でも、数字を一カ所、間違ってたんですよね~」
120行の記事で一カ所の数字の間違い、誰も気が付いていない。
普通なら皆、黙っておくだろう。しかも、記事は絶賛されているのだ。
もちろん先輩記者は謙遜とは取らなかった。
「ま、それくらいいいやろ」とも言わなかった。
ほころばしていた顔を改めて急に冷静になり、「それは訂正せんといかんな」と言い放った。
ずるい人間なら他部の先輩の言うことなどごまかしただろうが、馬鹿正直な私は社会部の上司に自ら申告した。
かくして、絶賛の記事は翌日、訂正が出て、台無し。
ま、でも、その後、デスクになって部下の記事で訂正を出すまで、自分の記事で訂正を出さなかったのは密かな誇りだ。
ところが、最近の新聞は間違いを書いても、訂正を出さないらしい。
ひどいのは朝日新聞だ。
慰安婦の吉田証言など歴史的な誤報をしていながら、「検証」のふりはしてみせたが、決して真摯に謝ってはいない。
『財務省「文書改竄」報道と朝日新聞 誤報・虚報全史』 (月刊Hanadaセレクション)=4/17付本ブログにリンクを張っている=に、朝日新聞が慰安婦報道を検証した2014年8月5日付の見開き紙面がそのまま掲載されているので、ぜひ見ていただきたい。
見開きにびっしり文字が埋まっている。
6項目を立て、一番肝心の吉田証言については3項目目。
「お詫び」や「訂正」という言葉を使わず、「読者のみなさまへ」と小さく囲んである。
「吉田氏が済州島で慰安婦を強制連行したとする証言は虚偽だと判明し、記事を取り消します。当時、虚偽の証言を見抜けませんでした。済州島を再取材しましたが、証言を裏付ける話は得られませんでした。研究者への取材でも証言の核心部分についての矛盾がいくつも明らかになりました」
この重大な「記事取り消し」が、見開きの右面の左下、最も目立たない部分にある。捜さないと見つからない。
見出しには「記事取り消し」を取らず、「『済州島で連行』証言/裏付け得られず虚偽と判断」といかにも熱のこもらない12文字の見出し(見出しは短いほどいいのが新聞の常識)で「虚偽」の文字を目立たなくしている。
見出しの大きさも他の項目と同列・同格の見出しにしている。
つまり、あえてメリハリを付けず、のっぺりした紙面にしているのだ。
いつもあんな派手な紙面を作るのがうまい朝日らしくない。
誤報を認めた重大事態をあえて埋没させる、朝日の巧妙さ、ずるさ、責任逃れを強く印象付ける。
他にも原発事故の吉田調書(どちらも吉田でややこしい)等々、近年、政治がらみでの誤報を連発しているが、お詫びや訂正をしたとはとんと聞かない。
(再度の猛批判で、2014年9月11日、木村社長が「吉田調書」と慰安婦報道について、謝罪会見。翌12日、紙面化した。二つの問題を同時に謝ったので、「慰安婦巡る記事/撤回遅れを謝罪」がまたしても埋没した)
社内で「お前、あれ、間違ってるぞ」と指摘され、書いた記者は飛び上がらないんだろうか。
あ~「お詫びと訂正」を出すのか! 気分最悪の瞬間だ。
最初に社会部に配属され、鹿児島市政記者クラブに所属した。
初めて市政の問題点について、120行もの「焦点」を書いたときに、自社の政経部のベテランに朝会うなり、
「この記事は良かった!! これで全部よーく分かった」
と絶賛された。
「ありがとうございます!」と言っておけばいいのに、
褒められ下手の私は、謙遜のつもりで、つい、自分を貶めるようなことを言ってしまう。
「でも、数字を一カ所、間違ってたんですよね~」
120行の記事で一カ所の数字の間違い、誰も気が付いていない。
普通なら皆、黙っておくだろう。しかも、記事は絶賛されているのだ。
もちろん先輩記者は謙遜とは取らなかった。
「ま、それくらいいいやろ」とも言わなかった。
ほころばしていた顔を改めて急に冷静になり、「それは訂正せんといかんな」と言い放った。
ずるい人間なら他部の先輩の言うことなどごまかしただろうが、馬鹿正直な私は社会部の上司に自ら申告した。
かくして、絶賛の記事は翌日、訂正が出て、台無し。
ま、でも、その後、デスクになって部下の記事で訂正を出すまで、自分の記事で訂正を出さなかったのは密かな誇りだ。
ところが、最近の新聞は間違いを書いても、訂正を出さないらしい。
ひどいのは朝日新聞だ。
慰安婦の吉田証言など歴史的な誤報をしていながら、「検証」のふりはしてみせたが、決して真摯に謝ってはいない。
『財務省「文書改竄」報道と朝日新聞 誤報・虚報全史』 (月刊Hanadaセレクション)=4/17付本ブログにリンクを張っている=に、朝日新聞が慰安婦報道を検証した2014年8月5日付の見開き紙面がそのまま掲載されているので、ぜひ見ていただきたい。
見開きにびっしり文字が埋まっている。
6項目を立て、一番肝心の吉田証言については3項目目。
「お詫び」や「訂正」という言葉を使わず、「読者のみなさまへ」と小さく囲んである。
「吉田氏が済州島で慰安婦を強制連行したとする証言は虚偽だと判明し、記事を取り消します。当時、虚偽の証言を見抜けませんでした。済州島を再取材しましたが、証言を裏付ける話は得られませんでした。研究者への取材でも証言の核心部分についての矛盾がいくつも明らかになりました」
この重大な「記事取り消し」が、見開きの右面の左下、最も目立たない部分にある。捜さないと見つからない。
見出しには「記事取り消し」を取らず、「『済州島で連行』証言/裏付け得られず虚偽と判断」といかにも熱のこもらない12文字の見出し(見出しは短いほどいいのが新聞の常識)で「虚偽」の文字を目立たなくしている。
見出しの大きさも他の項目と同列・同格の見出しにしている。
つまり、あえてメリハリを付けず、のっぺりした紙面にしているのだ。
いつもあんな派手な紙面を作るのがうまい朝日らしくない。
誤報を認めた重大事態をあえて埋没させる、朝日の巧妙さ、ずるさ、責任逃れを強く印象付ける。
他にも原発事故の吉田調書(どちらも吉田でややこしい)等々、近年、政治がらみでの誤報を連発しているが、お詫びや訂正をしたとはとんと聞かない。
(再度の猛批判で、2014年9月11日、木村社長が「吉田調書」と慰安婦報道について、謝罪会見。翌12日、紙面化した。二つの問題を同時に謝ったので、「慰安婦巡る記事/撤回遅れを謝罪」がまたしても埋没した)
社内で「お前、あれ、間違ってるぞ」と指摘され、書いた記者は飛び上がらないんだろうか。
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