憲法改正しないままの防衛強化は間違っている②2018/08/12

安倍晋三首相が昨日、総裁選への出馬意向とともに、自衛隊を憲法9条に明記する改正への決意をあらためて示した。
何としても実現を期待し、支援したい。

自衛隊の明記だけでなく、内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮権を持つと明記することが重要だ。

将来また民主党のような政権ができないとも限らない。
その首相が自衛隊を指揮したら恐ろしい、と思う。
その危惧は残しながらも、それでもなお、首相の指揮権は明記しなければならない。

なぜなら、日本の敗戦の理由が「統帥権の独立」にあったことが、今や明らかだからだ。

以前も書いたが、統帥権は、内閣制度の国では当然内閣が持つ。
ところが、プロイセン(ドイツ)が統帥権を政府から独立させ、首相は関与しないという慣行を確立させ、プロイセンを範とした日本陸軍が統帥権の独立を図った。

もちろん形の上では、天皇陛下が軍の最高指揮権を持っていた。

しかし実際は、政府と統帥部とが方針を決め、天皇は立憲君主として、それを承認するだけだった。むしろ天皇は権威づけとしてうまく利用されただけと言えよう。

つまり、誰も陸海軍を束ねる者がいなかった。
戦史を少し勉強するだけで、陸軍と海軍の不一致は驚くべきものがある。
敗けるのは当たり前だ。むしろ、物量に勝るアメリカ相手によく4年近くも戦えたものだと感心する。よほど兵士の質が良かったのだろう。

ところが、この反省が生かされず、「陸自と海自との間に溝があるのではないか」と指摘するのは、ガダルカナル戦の研究者、亀井宏氏(84)だ(8月10日付産経新聞九州・山口地方面)。

服部卓四郎『大東亜戦争全史』で見てみる。
昭和17年7-8月、日本海軍はガダルカナル島に飛行場を建設したが、大本営陸軍部は米軍が上陸するまでこの事実を知らなかった。多くは島の位置すら知らなかったという。

亀井氏は「陸海軍がけんかしていた、と言われますが、実はそうじゃない。けんかもしないほど、別々の方向を向いていた」という。
このため、「ガ島ではぶっつけ本番で、陸海の協調作戦を強いられた」。その結果、補給もままならない戦場に、大勢の兵士を置き去りにする状況となった。

亀井氏は今年3月新設された陸自の水陸機動団について、陸自が輸送艦の導入を検討していることに疑問を呈する。
大規模な海上輸送は本来、海自が責任を持つことから、「陸自と海自との間に溝があるのではないか。自衛隊も当然、ガ島を教訓にしているとは思いますが…。同じ失敗は繰り返してほしくありません」

負ける戦争は2度としてはならない。

そのためには、陸自と海自がバラバラの行動をとらないよう指揮権を明確にしておくこと。
自衛隊を憲法に明記するだけでは足りない。
内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮権を持つと明記することが絶対に重要なのだ。

『正論』8月号の岡田邦宏「そもそも国民に9条信仰はあったのか」は、目からウロコだ。

世論調査をもとに「国民は一貫して九条を支持し、九条は国民に定着している」かのように言われてきたが、それが全くの虚構、うそっぱちであることを、これまでの世論調査を見直すことで明らかにしている。

これだけ憲法学者や「平和教育」推進勢力、メディアが自衛隊を否定しても、国民は一貫して「軍隊は必要」「自衛隊は必要」と認識しているのだ。

国民は賢い。
安倍総理は自信を持って、9条改正に邁進してもらいたい。