「天皇力」2018/09/06

9月1日にあった早大マイルストーン創刊40周年記念パーティーに、同じ創刊メンバーの坪内祐三(文芸評論家)が来ていなくて、ほっとした。

というのも、10年前、30周年パーティーの時に、目の前にいながら完全無視されて非常に不快な思いをしたからだ。
大学時代から小生意気な奴だったが、そんな仕打ちをされる覚えはない。
彼が東京人、私が薩摩人だから、維新の恨みでもあるのか、それくらいしか思い当たる節がない。

まあ、いい、誰にでもいけ好かない奴はいる。悪口を言うために書いているのではない。

上京する前、たまたま図書館から借りた「新潮45」(例の杉田水脈議員のLGBT論文が載った号)に坪内の文章があった。

読んでみて、ほう、さすがに40年近く業界で飯食ってれば少しはうまくなるもんだな、と思った。

どうして上から目線かというと、彼の初めての単行本『ストリートワイズ』が1997年に出たときに買って読んで、あまりに下手くそで驚き、東京にいてコネがあればこんなレベルでも大手から出してもらえるんだと妬ましかったからだ(その後、講談社文庫にもなった)。

さて、新潮45。
「平成三十年に私は還暦を迎えた」という、彼らしい偉そうなタイトルだ。
自分のこれまでを振り返っているのだが、枚数が足りなかったのか、最後に話題が変わってこんな文章が出てくる。これこそが印象に残るのだ。

「天皇というのは代々、天皇霊を持っているのではないか。
 天皇霊とは自然に対しての力のことである。その点で今上天皇は天皇霊(天皇力)が弱いのではないか。
 平成に入ってからあまりにも天災が多く続いている。」

これを読んでから、「天皇力」という言葉が頭を離れなくなった。
もちろん、平成になって大災害が頻発するから(阪神淡路も3・11も)と言って、それが天皇陛下のせいであるはずがない。

しかし昨日の台風21号の関西国際空港をはじめとする大災害に続いての、今日の北海道の震度6強(のち7に訂正)である。

「天皇力」……。そんな理屈に合わないことも考えてしまう。