手塚治虫の「描いてはいけない」三原則2019/10/09

「あいちトリエンナーレ・表現の不自由展」に出された作品が、表現の自由として許されるものなのか、あってはならない表現なのか、大きな問題になっている。

私は以前も書いたが、憲法の「表現の自由」は「公共の福祉」に反してはならないという立場だ。
私の考えというより、憲法に明記してある常識だ。
しかし、自由は無制限だと勘違いしている人もまだ多い。

手塚治虫「マンガの描き方」(光文社知恵の森文庫)を読んでいたら、ちょうどこの問題にもあてはまる、漫画を描くうえで絶対に守らなければならないことで本が締めくくられていた。

手塚治虫はもちろん表現者だ。
だから「どんなに痛烈な、どぎつい問題を漫画で訴えてもいい」とする。
だが、「基本的人権だけは、だんじて茶化してはならない」として、三つの禁止事項を挙げているのだ。

一、戦争や災害の犠牲者をからかうようなこと。
一、特定の職業を見くだすようなこと。
一、民族や、国民、そして大衆をばかにするようなこと。

「あいちトリエンナーレ・表現の不自由展」はまさにこの一番目と三番目に反している。
決して擁護できるものではない。