出水沢聡子さんの本2011/10/02

出水沢聡子さんがエッセイ集『エッフェル塔の値段』を送ってくれた。

出水沢さんはパリ在住で、いいセンスのブログを時々拝見していたが、そのセンスそのままに素敵な本ができた。

南日本新聞夕刊の「思うこと」連載をきっかけに執筆活動を始めたとのこと。
当時私が文化部デスクとして担当したのだが、自分の仕事がなんか少しでも人の役に立てたとしたらうれしいことだ。

現在の肩書きは散文家。
この言い方も面白い。
私もフリーライターとして名刺に「文筆業」と書いたり、「著述業」と書いたりしているが、なんか偉そうで面映ゆい。
「散文家」なら謙虚な感じでいい。今度真似してみようか。

まずはフランス語の話。

同じテーブルでも食事用のtableは女性で、仕事用のbureauは男性と、フランス語ではすべての物に性があり、それは理屈抜きで覚えるしかない。
(そうそう、それで大学の第2外国語で挫折した)

ある日、彼女はパリのアンティークショップで気に入ったテーブルを見つけた。
でも、足がぐらぐらしているので、買うのがためらわれた。

そうつぶやくと、店の主人がこう言うのだ。

「C'est vrai, elle danse.」
(本当だ。彼女、踊ってるね)

こうして、フランスでの暮らしが生き生きと輝き始める。

出水沢藍子さんの娘さん。
「あさんてさーな」から1700円(税込み)。

現代とは?2011/10/06

時代には発展過程というものがあって、

古代→中世→近世→近代→現代

と進んできた。

では、
現代の次は何が来るのか。

来ないのである。

現代はずっと現代である。

現代とはつまり、歴史の停滞した時代である。

われわれは、歴史の停滞した時代に生きている。

天皇制をぶっつぶそうという動きはもう出てこないだろうし、
(ごく一部の人たちを除いては)
侍が登場したときのような、劇的な新しい階級も現れないだろう。

だから、回帰したり、元に戻したりすることしかやることはない。

スポーツはサムライ精神を鼓舞し、
町づくり、地域づくりはひたすら江戸時代の町並みをお手本にする。

原発はやめて、なるべく電気を使わない、質素な社会を目指す。

あるいは、破壊された環境を大変な労力を使って元通りにする。

今後も携帯電話やパソコン、インターネットなどのように、
新しい技術は出てくるだろう。

でもそれは別にどうしても必要なものではなく、
一面ではあれば便利なようだが、他面ではそれと引き換えに弊害の大きい、むしろなかった方が良かったようなもの(原発みたいに)ばかりだろう。

満州国を研究中2011/10/10

このところ、旧満州の本を読み進めている。

まずは佐野真一の『阿片王 満州の夜と霧』『甘粕正彦 乱心の曠野』。

この人、すごい取材量というのはわかるんだけど、
それを残らず全部書かれてもねえ…。

核心にたどり着くまでに疲れてしまう。

目の付けどころがいいので
この人の本はいつも期待大で読み出すんだけど、
もうちょっと整理してくれないか、と思う。

『旅と本のコラム』2011/10/11

おしゃれな小冊子が京都から届いた。

いや、小冊子じゃないんだ。
リトルプレス。

出したのは京都市の中務さんという、私とほぼ同世代の女性。

送ってくれたのは、守家さんといって、
京都造形芸術大のスクーリングのときに
私が家の離れを借りていた大家さんだ。

会社を辞めてから出来た、唯一の友人。

学習塾をやっていて、歌が趣味。
奥さんも多才な人で、このリトルプレスの絵を担当している(写真参照)。

25人の人が見開きでコラムを書いていて60数ページだから、
すぐ読めるだろうと手に取ったが、あまりに面白くて小休止。

世の中、文章のうまい人がたくさんいるものだ。

10月5日付の京都新聞によると、
これが第1弾で、これから年に1度は出していきたいそうだ。

700円。京都でしか買えないが、
例えば、恵文社一乗寺店なんかは
本好きなら絶対一度は行かなければならない(!)本屋だから、
行ったことのない方は行ってみられるといいだろう。

本ができました!2011/10/13

私の本、『「花のいのち」殺人事件』が出来上がりました。

出版社は福岡市の海鳥社です。

写真の帯の文句にありますように、
林芙美子と太宰治が対決するという
文芸ミステリです。

夜ですから、ストロボの加減で写真の映りが悪いです。
でも、明日の昼まで待てないので出しちゃいます。
なにしろ、さきほど午後8時前に出版社の方から受け取ったばかり。
ほんとはもっときれいですよ~。

速報です。

流通するのは20日ごろです。

『「花のいのち」殺人事件』あらすじ2011/10/14

近日発売!
自然光の下、あらためてパチリ。
でも今日は雨でしたが…。
昨夜の写真よりはいいでしょう。

四六判、ハードカバー。220ページ。
税込み1785円。

「文芸ミステリ」とだけ書いていましたが、
もう少し詳しく内容を紹介します。

あらすじ

 昭和五年、帝大生の津島修治(のちの太宰治)が鎌倉の海岸で心中事件を起こす。カフェの女給「花ちゃん」だけが死に、殺人事件ではないか、と女給たちから「姉さん」と慕われていた林芙美子が探偵役を引き受ける。

 津島は青森の大金持ちの息子で、担当の刑事も同郷ということから、芙美子はますます疑いを深める。青森まで行ってついにその罪を暴くが、そのときにはもう津島は起訴猶予となっていた。

 以来、芙美子が生涯書き続ける「花のいのちは短くて」という詩は、花ちゃんの無念を訴える犯人へのメッセージだった。

 太宰の小説の主人公である「大庭葉蔵」が、麻薬中毒の太宰から分離して、いろんな人間に取り憑いていく。大庭は太宰を恨んでおり、芙美子と協力してついに太宰を死に追い込む。

 死後刊行された「人間失格」を読んだ芙美子は、そこで太宰が自分の罪を詫びていることを知り、許す気になる。それに応える「浮雲」を書き終えた芙美子も心臓の持病で死ぬ。


こんな話です。ミステリ色は強くないので、ネタバレではないです。

いよいよ発売です、ドキドキ2011/10/17

出版社から連絡あり。

すでに並んでいる書店もあるそうですが、
24、25日までには並び終えるとのことです。

福岡では、紀伊國屋(福岡本店、久留米)、丸善、ジュンク堂福岡、金文堂などです。

アマゾンは明日から注文受付可能になる予定です。

どうぞよろしくお願いいたします♪