「壊す人」とは結局、何者だったのか2023/03/13

大江健三郎が亡くなった。

大学時代、つまり40年余りも前に読んだ『同時代ゲーム』の影響はずいぶん続いた。

私が9年前に発表した最後の小説、「取材ノートのマンモス」(『現代鹿児島小説大系2』所収)に「ゴウキッどん」という英雄が出てくる。

この名は西郷隆盛の本名、西郷吉之助の郷吉(ゴウキチ)から取ったものだが、実は『同時代ゲーム』の壊す人なのだ。

だから、こう書いている。

「ゴウキッどんについて語るとき人々は、強烈な破壊者のイメージから『ちんがらっ、打っ壊(が)した人じゃった』という前置きを必ず付ける」

大江健三郎の文章は有名な悪文で、難解だ。
だから壊す人なんてもっともらしくもったいぶっているが、何のことかよく分からない。

現実の大江健三郎の思想は、反核とか反戦平和とか、反原発とか分かりやすい左翼だ。

しかし文章は難解で理解不能だからこその不思議な魅力がある。
亡くなったのはやはり寂しい。

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