今日のひとこと2021/08/18

桐壺院から朱雀帝への遺言

あなたには
帝(みかど)として
帝室千年の
栄えのために
努めてほしい

臣にも
民人にも
心くばりを
忘れずに

いままでに
変わらず
なにごとにも
源氏の大将と
計って
政事(まつりごと)を
行うように

~大和和紀『あさきゆめみし』(講談社)第3巻


この言葉、特に「帝として帝室千年の栄えのために努めてほしい」に感動したので、原文ではどうなっているのか、有名な訳二つで確認した。

與謝野晶子訳
「私が生きていた時と同じように、大事も小事も彼を御相談相手になさい。年は若くても国家の政治をとるのに十分資格が備わっていると私は認める」云々と、

円地文子訳
「私の世にある時と変らず、大小にかかわらず何事にも、あれを後見とお思いになるように、……」

いずれも、大和和紀訳の前段部分は存在しない。光源氏に対する言及だけだ。

つまり、これは作者大和和紀の意訳というか創作なのだ。
しかし著名な女流作家よりもずっと簡潔でいて、本質を突いて素晴らしい。
「帝として帝室千年の栄えのために努めてほしい」をどこから絞り出してきたのか、天才的だ。

柳美里さんが全米図書賞2020/11/20

柳美里さんが全米図書賞を取ったことが、一部で物議を醸しているようだ。
というのも彼女が反日的な言動で知られているからだ。

私は15年ほど前だろうか、新聞社の文化部デスクをしていた時に彼女に会ったことがある。
その頃は私もまだ〝嫌韓〟ではなく、彼女に対しても悪い印象は全くなかった。

もちろん今では、反日的な言動は許せない。

ただ、彼女の場合、それもまた、商売道具にしている感じが強い。

彼女は自分の恋人や子供をネタにしたり(つまりプライバシーの切り売り)、東日本大震災の被災地に移り住んだり、作家で居続けることに必死だ。

そこまでして作家を続けたいかと痛ましくも思うが、なまじ芥川賞なんか取ったばかりに意地があるんだろうなあ。

「文豪とアルケミスト」が好きなら2020/08/12

「文豪とアルケミスト」というアニメが好評のうちに終わったらしい。
調べてみると「文豪ストレイドッグス」的な奴みたい。

どうして織田作之助とか太宰治に、こんなに需要があるんだろ?
だったら私の小説「『花のいのち』殺人事件」を読んでほしいよ~

左のツールバーの写真をクリックすれば、アマゾンの説明に行けます。

豪雨災害を教訓にしたい2020/07/06


雨の季節になると思い出す。
豪雨災害のミステリー小説を書いたことを。

幻冬舎の専務が読んで褒めてくれたけど、出版はしてくれなかった(笑)。
どこか出してくれないかなあ。

電子書籍じゃ、もったいないと思う。
忘れてはいけない災害がある。
毎年毎年九州で豪雨被害が出るのはおかしいと思うんだ。
もうストップしないといけないよ。
どうして地方でばかり被害があって、都会では被害がないのか考えよう。
対策を取ってるか、取ってないかでしょう。
「避難してください」じゃダメ。ハード面を整備しないと。
都会はそこに金をかけてるから災害が発生しない。
歴然としてるでしょう。

私が鹿児島県知事選に出たら、絶対、「災害に強い県づくり」を掲げる!

悪質でしかない「生きている兵隊」2019/10/18

朝日新聞がまた、石川達三の「生きている兵隊」を取り上げたそうだ。
今朝の産経新聞一面コラム「産経抄」にこうある。

「先月末、朝日新聞の天声人語が、作家の石川達三の『生きている兵隊』を取り上げて、この問題(注・検閲)を論じていた。日中戦争に従軍して書き、検閲を恐れて要所を伏せ字にせざるを得なかった作品である。」

まず、産経新聞にも誤りがある。
石川達三は〝従軍〟していない。

日本軍は中華民国の首都・南京を昭和12年12月13日に陥落した。
石川は翌13年1月8日、戦いの終わった南京に到着したのである。

同15日に上海に戻るまで、南京には正味7日間滞在した。20日に上海を発ち、23日に東京に戻った。

帰国後、『中央公論』3月号に発表するために一気に書き上げた『生きている兵隊』には、日本軍の南京攻略戦の残虐性をたっぷり盛り込んだ。
つまり、石川は南京攻略戦を実際に見聞したわけではなく、南京と上海での取材・伝聞・想像で書いたのである。

「産経抄」の続き。
「ただ石川が、戦前の言論統制の被害者と決めつけるのは早計だ。『言論統制』(佐藤卓己著)には、石川が雑誌に発表したこんな文章が引用されている。『極端に言ふならば私は、小説といふものがすべて国家の宣伝機関となり政府のお先棒をかつぐことになつても構はないと思ふ』」

これは、石川が戦中の1943年、『文藝』12月号に発表した文章だが、つまり、石川は政治的プロパガンダ小説を肯定していたのだ。

実際、石川は死去する少し前の昭和60(1985)年、インタビューに答えて、南京大虐殺について「いっぺんも見ていない」と否定している。
つまり、『生きている兵隊』は〝でっちあげ〟の非常に悪質で無責任な小説なのだ。
今も中公文庫で出ているので、読んでもらえば分かるが、実に醜悪な小説である。
第一回の芥川賞受賞作家とは思えない、グロ小説だ。とてもまともには読めない。日本軍に悪意があって書いたとしか思えず、発禁処分になったのは当然だ。
朝日の記者も、産経の記者も読んでから書いているのだろうか。
「検閲」以前の問題である。

しかも、これが、日本の歴史上最悪のスパイである尾崎秀実(朝日新聞記者)によって中国に広まるのである。
朝日新聞記者である河原理子が書いた『戦争と検閲――石川達三を読み直す』(岩波新書、2015年)が期せずしてその事実を浮き彫りにしている。

本ブログ9/26日付「中沢けいに反論する」にも書いたが、朝日新聞や朝日系の作家が石川の『生きている兵隊』をまるで「まともな作品」であるかのように持ち上げるのはもうやめてほしい。

「心中倶楽部」という小説2019/10/17

私の埋もれた小説第二弾(笑)。

10年前になりますが、古閑章・鹿児島純心女子大教授が南日本新聞の文芸時評で褒めてくれた「心中倶楽部」です。
(写真はクリックで拡大できます)

古閑さんはこのあと、『新薩摩学 鹿児島の近代文学・散文編』(南方新社)でも、「鹿児島近代文学年表」の中にこの作品を入れて下さいました。

ただ、この小説も、同人誌に発表したものだけに、ほぼ読むことはできません(鹿児島県立図書館にはあるかもしれませんが)。

そこで、前回書いた、「取材ノートのマンモス」所収の「現代鹿児島小説大系第二巻」を頒価でお求めになった方には、おまけとして「心中倶楽部」のコピーを差し上げます(コピー12枚になります)。
ご希望の方はその旨、メールにお書きください。

野崎六助「こんな面白い作品は初めて」2019/10/15

私が書いた小説「取材ノートのマンモス」について、野崎六助氏は「(月刊公募ガイドの)講座に寄せられてくる数多の原稿のうちで、こんなに面白い作品に当たるのはおよそ初めてのことでした」と高い評価を与えてくれた。

野崎 六助(のざき ろくすけ、1947年11月9日 - )は、日本の小説家、文芸評論家。 東京都品川区生まれ。京都府立桃山高等学校卒業。コック、大工など多数の職を経る。1992年、『北米探偵小説論』で第45回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)受賞。推理小説、推理小説評論を主に書く。日本推理作家協会会員。=『ウィキペディア(Wikipedia)』=

私はこの作品「取材ノートのマンモス」を公募には出さず、親しい友人である鹿児島市の出版社ジャプランの求めに応じて、「現代鹿児島小説大系」中の一篇として提出した。
このため、残念ながら広く手に取りやすい作品とはなっていない。

そこで、もしこれを読みたい方がおられれば、ツールバーにあるメールから連絡をいただければ、定価5000円(税別)のところを半額の2500円(税込み、送料込み)でお分けいたします。

南日本文学大賞受賞者の男性からも「『現代鹿児島小説大系』全4巻の作品の中で、一番面白かった」と言われました。ぜひご一読ください。

◎「取材ノートのマンモス」あらすじ
 江頭順平は南国日日新聞社で長く記者をやってきた。
 ある日、会社が突然、グループ企業を一つにまとめるという名目で新築移転計画を発表した。江頭はその準備室に異動になる。
 内情を知ると移転には金がかかり過ぎており、誰かが不正をしている疑いがある。だが、江頭は立場上、社長の命じるまま新社屋建設を先頭に立って推進しなければならなかった。
 新社屋は完成し、江頭は今度は社史編纂室に配属になる。
 そんなとき、新社屋建設準備室で部下だった平岡が、動物園の象の池で溺れるという怪死事件が起こる。これは事故死か殺人か――。 伝説の英雄ゴウキチが起こした戦の生き残りが創立したという、誇り高い歴史を持つ新聞社は、今や犯罪と疑惑にまみれている――。江頭は葛藤しながら、事件の謎解きに挑む。