沈寿官氏の言葉2021/07/25

九州国立博物館の特別展「皇室の名宝」関連イベントで、薩摩焼の15代沈寿官が記念対談するというので行った。

沈寿官氏は1959年生まれで2歳下。早大教育学部卒というから、同時代にワセダにいたわけだ。

先祖は桃山時代の1598年、豊臣秀吉の慶長の役で、朝鮮の南原城が一夜にして落城し、島津軍に連れてこられて薩摩にやって来た。

印象に残った話が二つ。

日本人だけが焼き物にとんでもない付加価値を付けた世界で唯一の民族であること。
これは非常に日本の特徴である。

朝鮮では実用的な茶碗であろうが、千利休や古田織部、小堀遠州といった人が素晴らしいものだと認めれば、<玉(ぎょく)>としてあがめた、その感性は世界でも独特のものである。

もう一つは、特別展のテーマに関連して、皇室に献上することの意味。

日本では権力と権威は別であって、皇室は絶対的なものだ。決して相対的なものではない。
献上は、こんな名誉なことはない。

沈寿官氏は朝鮮にルーツがあるとはいえ、「相対的」価値観に生きる今の日本人と違って、真の日本を見極めていると思った。