島津斉彬の描き方は新しい2018/02/06

大河ドラマ「西郷どん」は史実をでたらめに描いていると非難する声がある。

そうでもない。

むしろ、よく勉強していると感心することも多い。

戦国時代のように史料が少なく、作家や脚本家が想像で自由に描ける余地のある時代と違って、幕末維新は史実はほぼ明らかになっているといえよう(ただし歴史だから、解釈はいろいろ。西郷像も人によって違う)。

ともあれ、自分が知っている史実と違う!と文句をつける人が多い時代だ。

しかし、テレビドラマは、史実再現ドラマではない。
エンターテインメントだ。

あまりにひどく史実を捻じ曲げるのは問題だが、史実の隙間を縫って、面白くする必要がある。

たとえば、島津斉彬。
完全無欠の英明な藩主というイメージだが、今回はずるいところもある野心家に描いた。

父の斉興とロシアンルーレットをやったり、西郷隆盛と相撲を取って投げられたり。いいじゃないか。

実は、斉彬=善、英明。久光=悪、暗愚。
という分け方は非常におかしいと私も思っていた。

久光は今のところ気のいい男に描かれているが、これが大化けして薩摩を率いる立派な藩主へと変わる成長譚になるに違いない。楽しみだ。