太宰治の墓に謝る2012/02/13

太宰治の墓
太宰治の墓は三鷹の禅林寺にある。

4~6日、東京に行ってきたので、5日、禅林寺にお参りしてきた。

『「花のいのち」殺人事件』で、太宰を悪人にしているので、
そのお詫びを墓前に言いたかったのである。

寺の裏手にある墓地はさほど広くはないが、
2度ほど曲がるところを間違えてしまった。

太宰の墓には花や煙草のお供えがあり、相変わらずの人気の高さを伺わせていた。

霊感のない私でも、「てめえ、何しに来た」くらいのものを感じるかと思っていたが、なんにも感じず拍子抜けした。

本を墓前に立てかけさせてもらい、お祈りした。
「あなたを悪人にしてしまいました。お許しください」

お墓はあくまで静かで、
「そう。好きにすればいいんですよ」
そういわれている気がした。

許されたというより、取るに足らないとあしらわれたようだ。

ともあれ、これで気が済んだ。

太宰入水現場2012/02/13

玉川上水
順序が前後するが、禅林寺に行く前に、
どうしても玉川上水が見たかった。

本の中で、太宰治が心中して、林芙美子が駆けつける(これは事実)ところが出てくるが、現場の様子は資料と想像で書いた。

玉川上水は三鷹駅からずっと続いている。
ただし今は上水としては使われておらず、
淀まないように人工的に水を流している。

三鷹の駅前は今でも、太宰が黒いマント(本当はインヴァネスとか二重回しというもの)を着てふらふら歩いていそうな雰囲気がある。

そんな駅前にある「太宰治文学サロン」をまず訪ねた。

太宰が通った酒屋の跡地に立つ、瀟洒な建物だ。

小さな建物なのですぐ見終わったが、ここのボランティアガイドの男性が玉川上水の入水現場まで案内してくれた。

これがよかったのである。

確か現場にはモニュメントがあると何かで読んでいたので、1人でもすぐにわかる、大丈夫だと思っていた。ところが、道路を挟んだところに市が青森県金木町の石を置いているだけであった。

考えてみたら、無理もない。

文学者の心中現場、なんて案内を市が出すわけにもいかないだろう。
連れてきてもらってよかった。

ボランティアガイドの方によると、井伏鱒二ら文学仲間が主張する現場はもっと下流(駅とは離れた方)だそうだが、ここは地元で伝えられている現場だそうだ。警察はどことも断定していないらしい。

ガイドの方には自分がアンチ太宰の本を出したとはどうしても言えなかった。すみません。そして、ありがとうございました。