マスコミは現象しか報道しない(できない)2020/03/03

26年間、新聞記者のはしくれだったので分かるが、新聞やテレビは今あることの「現象」は報道できるが、決して「本質」を報じているわけではない。
それがジャーナル(日々の報道)ということだ。

だから、横浜のクルーズ船が防疫のためにたった2週間、船内隔離になると、「かわいそう。早く出してあげて」の一色になり、いざ解放された乗客から感染者が出ても知らんぷりで反省はしない。

全国の学校が休校になると、子供たちの身を守る視点はなく、ただ「卒業式ができなくてかわいそう。共働きの親は大変で気の毒」という報道で一色になる。
もしどこかの学校で集団感染が出ていたら、「どうして政府は休校を呼びかけなかったんだ!」と一斉に合唱していただろう。

場当たり的、その時々で大騒ぎすればいいというのが、ジャーナリズムなのだ。

問題は、これら報道を見る側読む側が、これを「本質」と見ることだ。
世論は冷静に「たった2週間くらい我慢しようよ」とはならない。そのつど「ああ、ほんとかわいそうに」と動かされる。

報道していることは一応、一面の「事実」かもしれないが「真実」ではない。
世間には、新聞・テレビは一過性で騒ぐものだと冷ややかに見てもらいたい。
ニュースに出てくる「現象」をそのまま受け止めず、「その物事の本質は何か」は読者・視聴者自身が考えなければならない。