高校の必修科目となる「歴史総合」は大丈夫か2021/12/13

来春から高校の必修科目「歴史総合」がスタートする。
これまで別々だった世界史Aと日本史Aを融合させて、近現代史を学ぼうというものだ。

趣旨はいい。
なにしろ現在は世界史だけが必修で、日本史を学ばない生徒も多いというのだから。
しかも誰もが経験していることだが、中高の歴史は近代になると時間切れで、特に誰もが知りたい昭和前期の戦争については学校では何も教えていないと言っていい。

その長年の弱点である日本の近現代史を教えるというのだから、大いにその意欲を買いたい。
私なども最も興味のある分野であり、自分も生徒に教えたいくらいだ。
(でも教職資格を持っていないので、私塾でもやるしかないが…)

では、実際にどういう内容になるのか。
なかなか情報がなく、週刊東洋経済11月20日号「学び直しの近現代史」でごく大まかに知った範囲で書く。

山崎圭一という人が例に取り上げていた「世界恐慌と昭和恐慌」で、ちょっと愕然とした。

「世界恐慌と日本の金解禁、昭和恐慌が一連の流れで理解できる。ファシズムの進展と日本の軍部の台頭も対比的に描かれる」というのだが、コミュニズム(共産主義)という視点が全くないのだ。

ロシア革命でソ連が誕生し、コミンテルンによって世界に共産主義を波及させようとしたのが、第二次大戦期の世界に欠かせない視点だが、全く欠落している。

日本にとって最大の脅威、敵はソ連で、それを何とか緩衝地帯で防衛しようと韓国を併合し、満州国を建国し、結びたくもない日独伊三国同盟を結んだのだ。
ところがあろうことか、アメリカのルーズベルト大統領はソ連の共産主義より日本の台頭にいらだって、ハルノートという最後通牒で日本に宣戦布告した。
ソ連を利したアメリカがその後どれだけ苦しんだか。
そのソ連も今はこの世にないが、アメリカはまたしても日中戦争中に支援した中国に苦しめられている。

旧態依然の「ファシズムの進展と日本の軍部の台頭」で済ませてしまっては、近現代史の半分しか教えていないも同然で、こんな教育では日本の高校生は世界に対抗できない。

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