藤田嗣治「アッツ島玉砕」2025/12/16

林芙美子が藤田嗣治の「アッツ島玉砕」を見たという記録はないが、私は小説『「花のいのち」殺人事件』(2011年、海鳥社)の中で、次のような一場面をもうけた。


 芙美子は十八年五月、帰国した。
 九月には陸軍美術協会主催の国民総力決戦美術展があり、藤田嗣治が大作を出品するというので東京府美術館に見に行った。
 芙美子は息を呑んだ。
「アッツ島玉砕」という作品だった。
 縦二メートルほど、横二メートル半ほどの暗い画面いっぱいに、死闘を繰り広げ、あるいは既に絶命した兵士たちが重なり合っている地獄絵図だった。アッツ島は北太平洋アリューシャン列島にある。ここの守備隊の全滅は芙美子の帰国直後のことだった。その玉砕は賞揚され、それを指揮した大佐は軍神とあがめられた。しかし、この絵は何の賛美もなく、ただ戦争の凄惨な実相を描いている。こんなものをよくぞ陸軍に提出したものだと舌を巻いた。しかも、藤田は現場に行っていないし、まして玉砕の場面など見ていない。想像だけでこれだけのものを描くとは。これこそ芙美子がやろうとしてできなかったものではなかったか。
 会場にいる藤田を捜して、話しかけた。
「『アッツ島玉砕』すごいです」
 藤田は、もちろん、という風にうなずいて、
「先月、スーチンが死んだんだ」
(以下、略)

『歴史認識問題研究』に拙稿掲載2025/10/01

南京大虐殺は日本人なら誰もが知っているが、通州事件はほとんどの人が知らない(私もそうだった)。
逆なんです。嘘の南京大虐殺ではなく、本当にあった通州事件を知るべきなんです。
日本人が「人類史上最悪の虐殺」をやられたんですよ!

林芙美子の母と「西郷さんの私学校」2025/09/13

今日のひとこと(記者の仕事)2025/06/01

新聞記者は毎日、答案を書き、採点されているようなものだ。入社間もないころデスクから言われた。取材成果が原稿になる。何も書かなければ零点。さぼればすぐにばれる。デスクが原稿をチェックするが、採点は最終的に読者からの励ましや叱責に表れる
~5月19日付産経新聞「産経抄」~


私も現役時代、新聞記者って毎日、試験を受けてるようなもんだなと、いつも思っていた。
ことさら新聞記者が他の仕事より大変だとは思わないが、毎日試験を受けるのはそれなりにしんどいことではある。
私の場合、文章を書くのが好きなので続いたが、そうでない人は内勤(見出しやレイアウトによる紙面づくり)を希望する人も少なくない。

ところが、外勤デスクを2年間やったときに、全く仕事をしない記者がいることに驚いた。
部下が6人いたのだが、言われなくても原稿を書くのは1人、普通に仕事するのが1人、ワンパターンの小ネタ(出席原稿とも言う)だけ書くのが1人で、あとの3人は全く仕事をしなかった。

自主性に任せたといえば聞こえはいいが、部下を働かせることができなかった私の責任も大きいと反省している。

だが、部員が仕事をしなかったおかげ?で、私の運命はある方向性を持つことになった。

私はこれまで林芙美子に関する本を4冊出してきた。
(あと、1章を林芙美子について書いた共著もある)
だから、どうして林芙美子なのか、と尋ねられることも多い。

真相を人に話したことはないが、このブログには書いている。

2020年10月16日付「もう一つのあとがき」。
https://restart.asablo.jp/blog/2020/10/16/9306239

新聞社を選択定年退職してから、林芙美子について書く仕事が精神的な支えになってきたのは確かだ。

今日のひとこと(林芙美子)2025/03/04

愛する日本の為には、いま、国民はどんな危険に晒されても国土はしっかりと守らなければならないと思います。戦いはここまで来ているのですから、それこそ、泥をつかんでも、祖国の土は厳粛に守らなければならないと思います。私達の民族が、支那兵に雑役に使われることを考えてみて下さい。考えただけでも吐気が来そうです。
~林芙美子『戦線』(1938年12月刊)~


最近また、林芙美子と昭和の戦争についての本を書きたくなって、中公文庫の『戦線』をぱらぱら見ていたら、末尾の「附記」にこんな文章があった。
なんと今の日本の状況に当てはまることか!

楽天市場に再入荷のお知らせ2025/02/01

お待たせしました。
1月23日から品切れになっていた楽天市場に、9日ぶりに『林芙美子が見た大東亜戦争』が入荷しました。37冊も!


あらためて書評を紹介します2025/01/31

『正論』の書評です。


『WiLL』の書評です。


南日本新聞の書評と比べてみてください。