東條英機の驚くべき予言2018/04/09

岩浪由布子『祖父東条英機「一切語るなかれ」』(文春文庫)に、東條英機の遺書が収録されている。

東條が聡明な人間であるのは知っていたが、中で一番驚いたのは、

「第三次世界大戦に於いては極東、即ち日本と支那、朝鮮が戦場となる」

と断定していることだ。これは正に、今現在のことではないか。

実にいろいろと考えさせられる遺書なので、最初から見てみる。

まず、自分は国内的には責任がある、としている。
しかし、国際的な犯罪としては無罪だ。ただ力の前に屈服した。

「東亜民族も亦他の民族と同様に天地に生きる権利を有つべきものであって、その有色たるを寧ろ神の恵みとして居る」
この一節は、大東亜戦争の本質が人種差別の戦争であったことを物語っている。
「列国も排他的の感情を忘れて共栄の心持ちを以て進むべきである」

「実は東亜の他民族の協力を得ることが出来なかったことが、今回の敗戦の原因であったと考えている」

次がまた大事なところだ。
「今次戦争の指導者たる米英側の指導者は大きな失敗を犯した。
第一に日本という赤化の防壁を破壊し去ったことである。
第二は満州を赤化の根拠地たらしめた。
第三は朝鮮を二分して東亜紛争の因たらしめた。米英の指導者は之を救済する責任を負うて居る。」

まさしく、米英が抗日容共の蒋介石を支援して、結果的に中国共産党を育てたのは大きな間違いだった。
全く逆で、日本を防共の盾として支援して、中国共産党を倒すべきだったのだ。
その過ちが今の世界情勢を招いている。
アメリカも内心、悔いていることだろう。

「我が国従来の統帥権独立の思想は確かに間違っている。あれでは陸海軍一本の行動は採れない」

軍を一つの意志にもとづいて指揮運用する「軍令」の権を統帥権という。
統帥権は、内閣制度の国では当然内閣が持つのだが、プロイセン(ドイツ)が統帥権を政府から独立させ、首相は関与しないという慣行を確立させ、プロイセンを範とした日本陸軍が統帥権の独立を図ったという。
天皇以外には陸海軍を統一する機関・組織が全く存在しなかった。
その天皇自身が立憲国の君主として、政府と統帥部との一致した意見は認めなければならぬという基本姿勢を貫いたのだから、誰も陸海軍を束ねる者はいなかったのだ。

だから天皇は、おかしな話だが、「陸海軍の不一致」を敗戦の四原因の一つとしている。