窃盗と暴行の犯罪者 ― 2017/08/23
だいたい汚元は、自分に甘く他人に厳しい男だ。
私は本を勝手に持ち去られた。
昭和六十二年(一九八七)、私が文化部記者のとき、初めてのパソコンが編集局にやってきた。ちょうど三十年前だ。
デモ機として自由に触ってもらおうとNECのPC―9801が編集局の一角に入れられた。デスクトップの名機だ。
一太郎もまだ走りで、今調べるとヴァージョン3だ。
私はいち早くキーボードに飛びついた。
私の書き文字は上手だと褒められるが、筆圧が強くて手首が痛くなるので閉口していたのだ。
一段落分ほども打って一発変換すると、ほとんど正確な漢字仮名交じりとなって驚いた。
誤変換率は今よりむしろ低かったような気がするが、どうだろう。
のちに社長となるゴリ(汚元の兄貴分)が隣にやってきて、「俺にもやらせろ」と言って打った。あまりうまくいかず、電源をいきなりバチッと切って去っていった。
まだコンピューターを終了させるのはソフトを終了させてからと知らなかったのだ。そんな時代である。
私は本屋で格好の本を見つけた。
JICC出版局が出した一太郎についての画期的な解説書だった。
MS―DOSから解説するという画期的な本だった。難しいことを分かりやすく面白く、そのころ類を見ない本だった。
私は首っ引きで学んだ。
ところがある日、机の本棚に大事に立てていた本がない。
愕然とし呆然とした。
すると、汚元(当時は政経部記者)がやって来て、
「あん本は借りたでね」
と有無を言わさない態度で一方的に告げた。
大変な痛手を受けた。
毎日毎日その本を頼りにパソコンを一太郎を学んでいたのだ。
大切な大切な本が奪われた。
人の机上の物を勝手に抜き取って読むだけでも罪。それを勝手に持ち帰る。
そんな男なのだ、汚元は。
それから三十年、本を返さない。30年分の損害賠償を請求したい。
それどころか、私に多大な屈辱を与え続けるなんて。
汚元は支社支局に一日四度、警察に警戒電話(警電)しろと命じた。
「事件事故は何か起こってませんか」と早朝、昼、夕方、夜の四回、当直に聞け。警察の御用聞きをやれというのだ。これでは仕事にならない。
ちゃんちゃらおかしい言い草だった。
汚元はかつて国分支局長をしていたとき、とある事件を自分に教えなかったと文句をつけて地元の警察署次長を殴った。
警官を殴るとは尋常ではない。
ところが、暴行は立件されなかったし、新聞にも載らなかった。
手打ちがあったのか。他紙にも載らなかったのだから、警察が握り潰してくれたらしい。
汚元は頭を丸坊主にし、支局から本社に戻されただけで、それ以上のお咎めはなかった。
そしていつの間にか出世している。
それなのに警察の犬になれという。
いや、それだからこそ、か。
私は本を勝手に持ち去られた。
昭和六十二年(一九八七)、私が文化部記者のとき、初めてのパソコンが編集局にやってきた。ちょうど三十年前だ。
デモ機として自由に触ってもらおうとNECのPC―9801が編集局の一角に入れられた。デスクトップの名機だ。
一太郎もまだ走りで、今調べるとヴァージョン3だ。
私はいち早くキーボードに飛びついた。
私の書き文字は上手だと褒められるが、筆圧が強くて手首が痛くなるので閉口していたのだ。
一段落分ほども打って一発変換すると、ほとんど正確な漢字仮名交じりとなって驚いた。
誤変換率は今よりむしろ低かったような気がするが、どうだろう。
のちに社長となるゴリ(汚元の兄貴分)が隣にやってきて、「俺にもやらせろ」と言って打った。あまりうまくいかず、電源をいきなりバチッと切って去っていった。
まだコンピューターを終了させるのはソフトを終了させてからと知らなかったのだ。そんな時代である。
私は本屋で格好の本を見つけた。
JICC出版局が出した一太郎についての画期的な解説書だった。
MS―DOSから解説するという画期的な本だった。難しいことを分かりやすく面白く、そのころ類を見ない本だった。
私は首っ引きで学んだ。
ところがある日、机の本棚に大事に立てていた本がない。
愕然とし呆然とした。
すると、汚元(当時は政経部記者)がやって来て、
「あん本は借りたでね」
と有無を言わさない態度で一方的に告げた。
大変な痛手を受けた。
毎日毎日その本を頼りにパソコンを一太郎を学んでいたのだ。
大切な大切な本が奪われた。
人の机上の物を勝手に抜き取って読むだけでも罪。それを勝手に持ち帰る。
そんな男なのだ、汚元は。
それから三十年、本を返さない。30年分の損害賠償を請求したい。
それどころか、私に多大な屈辱を与え続けるなんて。
汚元は支社支局に一日四度、警察に警戒電話(警電)しろと命じた。
「事件事故は何か起こってませんか」と早朝、昼、夕方、夜の四回、当直に聞け。警察の御用聞きをやれというのだ。これでは仕事にならない。
ちゃんちゃらおかしい言い草だった。
汚元はかつて国分支局長をしていたとき、とある事件を自分に教えなかったと文句をつけて地元の警察署次長を殴った。
警官を殴るとは尋常ではない。
ところが、暴行は立件されなかったし、新聞にも載らなかった。
手打ちがあったのか。他紙にも載らなかったのだから、警察が握り潰してくれたらしい。
汚元は頭を丸坊主にし、支局から本社に戻されただけで、それ以上のお咎めはなかった。
そしていつの間にか出世している。
それなのに警察の犬になれという。
いや、それだからこそ、か。
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