史伝「島津久光」が書きたい2017/12/05

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 明治六年四月二十三日、旧薩摩藩の最高実力者、島津久光率いるサムライ二百五十人が上京した。全員がちょんまげを結い、大小二本の刀を差して皇居前を堂々デモ行進した。新政府の欧化政策に抗議する一大パフォーマンスに東京市民は仰天する。
 筆頭参議で陸軍元帥の西郷隆盛は、その様子を陸軍省の窓から苦々しく眺める。つい先日まで、鹿児島で罪状一四か条をあげつらわれて責められ、半年も足止めを食ったばかりなのだ。
 しかし、廃藩置県を相談もなく断行した、かつての家臣に対する久光の怒りは、それくらいでは収まらなかった。そのまま東京に落ち着き、西郷を政府高官の座から引きずり下ろすため暗闘する。
 西郷は硬軟両様で対抗する。陸軍の大演習で武力を誇示し、一方では天皇に勧めて久光に邸宅を下賜して行幸し、高位を授ける。しかし、久光は懐柔されない。
 時あたかも、日本政府は隣国朝鮮と新しい国交関係を樹立しようとして失敗、両国は非難の応酬となる。武力による解決案が出る中、西郷は平和的解決を求めて朝鮮使節を志願する。いったん西郷派遣が閣議で決定するが、久光は西郷に手柄をあげさせたくない。征韓論争を再燃させて西郷の追い落としを画策する。
 岩倉遣欧使節団から帰国した大久保利通を巻き込んで、久光は二人を対決させるよう背後から仕向ける。
 西郷vs大久保。久光としてはどちらが倒れても面白い。
 西郷はとうとう政争に敗れ、辞職する。久光の執念と妄執が勝った。
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