ムカデふたたび2023/02/04

森浩一さんの『日本の深層文化』(ちくま新書)を読んでいたら出てきたのが、写真右の人物鳥獣文鏡。

森さんはこれを擬人化したムカデとみる。

類例はないらしい。

「ムカデは、他の銅鏡にはまったくあらわれていないし、銅鐸の絵画にもない」という。
もちろん中国鏡には似た物さえない。

私は、縄文時代にあるよ!と教えたかった。
昨年9/30に書いた大好きな縄文土器である(写真左、九州国立博物館蔵)。

森さんはこう描写する。
「この大きな多足の虫は、丸い頭があって長大な体部につづくのだが、頭からつづく体部の半ばまでが、やや幅を広くして胴といった感じ、のこりの半ばは幅がせまく尻尾の感じである。頭につづく胴から、左右に二本の短い手(前肢)を突き出し、先端が三本指になっている」

縄文と古墳時代、3000年は隔たっているのに、両者の共通性はかなりのものである。

森さんは「大ムカデ退治は、四世紀の人びとが生活の場を切りひらくうえで、現代人がおもう以上の試練があったのではなかろうか」と言う。
その通りだろう。

私も南薩摩の枕崎に仕事で3年間暮らしたときにムカデには悩まされた。
熱湯をかけて殺処分していた。
私は幸い、刺されたことはなかったが、隣の加世田にいる同僚は寝ている間に顔を噛まれたというのでゾッとしたものだ。

竪穴式住居に住む古代人にとっては、ムカデの存在はかなり厄介なものだっただろう。

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